北八甲田  雪崩・亀裂事例 (2003/4月〜)  その3       戻る

 

6.前嶽  亀裂、雪崩

2003/5/9


                                    沢筋の中央上部に亀裂

 

雪崩事例その3  new


1.概要
   東奥日報web 2007/2/14 より引用

十四日午前十一時二十三分ごろ、青森市の北八甲田の前岳で雪崩が発生し、スキーヤー数人が巻き込まれた−と、一一〇番通報があった。

 県警地域課、関係者らの話によると、スキーのツアー客は、酸ケ湯温泉を出発した二十四人(客十八人、ガイド五人、酸ケ湯温泉社員一人)。このうち、十数人が雪崩に巻き込まれ、午後一時現在、二人の死亡が確認されたほか、一人が行方不明、十人がけがを負っているもよう。県警や県は自衛隊や消防などに応援要請し、救助活動に当たっている。

2.その他情報
(1)救助にあたった、オーストラリア人パーティ
現場にたまたま居合わせた下記、豪州ツアー客が撮影した、現場映像

以下、JAMS記事

<豪州人救助者への感謝状授与式>
3月26日(月)、総領事公邸にて、豪州人救助者への感謝状の授与式が行われた。 
2007年2月14日、青森県青森市の八甲田山系で雪崩事故が発生し、10人が死傷する惨事となった。その際に現場近くにいた豪州人7名が、雪崩事故発生直後から行方不明者の捜索や怪我人の救出にあたり、多くの遭難者を救助することに貢献した。この勇気ある豪州人の積極的・迅速、且つ連携した救助活動に対し、日本の青森県庁・青森県警察本部・青森市役所から、それぞれ感謝状と記念品が贈呈された。そしてこの度、在シドニー日本国川田司総領事が、これらの感謝状を伝達し、豪州人7名の功績を顕彰する式が催された
式典前にはプレス向けに代表ジョナサン・ディッシャー氏へのインタビュータイムが設けられた。以下はジョナサン氏から直接伺った現場の状況である。
 
雪山レスキュー隊員として仕事をしているジョナサン氏とスキー仲間7人は3日間のスキー旅行で八甲田山に出掛けた。しかし初日にロープウェイを使って山頂に向かう頃から天候が悪化し、15分後には嵐となる。その後、嵐は勢いを増し、強いブリザードとなってスキーヤーを襲った。その際の視界は約5メートル。それ以降は全く見えない状況にあった。 
比較的吹雪の弱い林の間を抜けていく方が賢明と判断した一行は、木の中を100メートルほど滑り降りた。するとスキーパトロールを呼ぶ声が聞こえ、声の呼ぶ方向に進むと、男女計4名の日本人スキーヤーが負傷しているのを発見した。一行はただちに救助活動を始めた。一行にはレスキュー経験が無かった者もいたが、次々と他の生存者を発見し、息のある者には心臓マッサージを行い、雪に埋もれている者は掘り起こして即席で作ったかまくらの中に入れるなどして体力の回復を図った。最終的にグループ24人のうち、死傷したものは10名で、うち2名が死亡し、3名が雪の中に埋もれていたところを救助され、5名が負傷者として手当てを受けた。 
救助に使われた道具は携帯用シャベル・ビーコン(電波発信機)・プローブ(伸縮できるアルミで出来た棒のようなもの)などで、これらを旅行中であるにも拘らずきちんと装備していたことが迅速な救助活動につながった。その後一向は現場から2キロメートルほど先にある休息所までスキーで降り、警察に通報したという。そして予定通り数日後に帰国した。  
JAMS記者が「救助活動を始めた際、救助をしている間に自分達も雪崩に巻き込まれるかもしれないという恐れは感じませんでしたか?」と質問すると、ジョナサン氏からはきっぱりとした「NO」の返事と「目の前に命が危ない人間がいたら助けようと協力するのが当然だ。」という言葉が返ってきた。 
会場では彼ら7人の勇気ある行動に拍手と感謝が送られ、招待された7人の家族・パートナーも誇らしげに表彰状授与を見守った。


(2)雪崩事故発生時のツアー参加者のエッセイ本

   雪煙 (美術出版社)  〜夫婦で事故に巻き込まれ、夫を亡くした妻が綴るエッセイ。


 以下、雪煙p.80に掲載された事故現場周辺図を読み取り、概ねの位置を下図に記してみました。

 事故現場地点は前嶽北斜面の沢筋の標高950〜1000m前後で、雪崩発生点は、事故現場
の上部と推定されます。(発生点は不明とのことです。)






(3)山と渓谷 2007年12月号
   <八甲田山酸ヶ湯温泉ツアー雪崩遭難事故はどのように起きたか。>

   記事によると、雪崩原因として考えられるのは、
   ・自然発生説
   ・雪崩被災パーティ(酸ヶ湯温泉ツアーパーティ)の上部で行動していた、米人ガイドによるツアー
    パーティ(オーストラリア人パーティ、救助に当たったパーティーでもある。)起因説
   の2つが考えられるが、吹雪で視界もなく痕跡も雪で消えていたために、原因特定は不可能と記述。
   


 

雪崩事例その2
   東奥日報web 2000/4/15より引用

前岳では平成二年三月、春スキーツアーの一行十九人のうち三人が雪崩に巻き込まれ、一人が死亡、二人が救助される事故が起きているほか、十一年四月にも同じ北側斜面で幅、長さとも約百メートルにわたって雪崩が発生している。
雪崩事例その1
   東奥日報web 2003/4/15 より引用

雪崩で「銅像スキールート」閉鎖
 北八甲田の前嶽北側斜面で雪崩が発生しているのが見つかり、付近を通る山岳スキーコース「銅像ルート」(三・六キロ)が十五日までに閉鎖された。
 青森市などによると、現場は前嶽山頂から銅像茶屋側へ約三百メートルの斜面。以前からあった亀裂から雪崩が発生しているのが十三日、発見された。
 現場付近には、滑走禁止の看板が設置されたほか、八甲田ロープウェー山麓・山頂駅ではアナウンスで注意を呼び掛けている。
 市観光課は「今年は、例年よりも非常に亀裂が多い。スキーヤーは十分滑走に注意してほしい」と話している。

 

 

亀裂事例その1
   東奥日報web 2001/4/29 より引用 

八甲田・前岳北側斜面に雪の亀裂
 青森市の八甲田山系前岳の北側斜面の雪に、長さ十メートル、幅二メートル、深さ五十センチにわたり亀裂ができ、雪崩が起きる恐れがあるとして八甲田ロープウェーなどがスキーヤーらに注意を呼び掛けている。
 現場は、山岳スキールート「銅像ルート」の西側に当たり、毎年のように雪に亀裂が入る地点。天候により雪崩が起こらず消える年もあるが、一昨年は長さ百メートル、幅百メートルにわたり雪崩が起きた。
 同ロープウェーなどによると、スキーヤーの中には、前岳を山頂まで登り、北側斜面を滑り降りる人もいるという。亀裂は前岳山頂から数十メートル北側に下った付近にあり、斜面が急なため亀裂に気付かない恐れがある。このため、山麓駅、山頂駅では亀裂ができた地点を地図で掲示して注意を呼び掛けているほか、ゴンドラ内などでアナウンスも行っている。

   


新緑が残雪を覆っていく

 

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